東大入学式での上野千鶴子名誉教授の祝辞は素晴らしく、世相をうまく突いている!

先日4月12日、東京大学の2019年度入学式が日本武道館で行われた。今回の祝辞には、女性学のパイオニアである社会学者の上野千鶴子名誉教授が登壇。ネット上でその祝辞が話題になってるが、ここでは私なりの感想を述べたい。

①まずは男女差別について。

東京医科大学の不正入試問題に言及。続いて全国の大学医学部医学科で男子学生の方が合格率が高いと述べた。東大でも入学者の女性比率は長年2割以下が続いていることも紹介。このことについて「この差は成績の差ではない。『息子は大学まで、娘は短大まで』でよいと考える親の性差別の結果です」と指摘した。

また東大の学生が過ごす環境についても語った。印象的だったのが、
「なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるが、女子学生は答えに窮するのか?」と新入生に問いかけたことだ。
また、「女子は『かわいい』ことを期待される。『かわいい』とはどんな価値か?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれている。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとする」とも語った。

その上で次のように警鐘を鳴らした。
「大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっている。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行している。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」

②「報われたのは努力の成果ではなく、環境のおかげ」この言葉はすごく共感した。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」

続けて、「世の中には、がんばっても報われない人、頑張ろうにも頑張れない人、頑張り過ぎて心と体をこわした人たちがいる。頑張る前から、『しょせんお前なんか』『どうせ私なんて』とがんばる意欲をくじかれる人たちもいる」と語り、こう訴えた。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」

③祝辞の最後、知とは何かについて。

受験のように正解の分かる知識ではなく、未知への挑戦に背中を押した。

「大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、私は確信しています」と話し、「ようこそ、東京大学へ」と結んだ。

①については、本当に驚きと同時に呆れた。それは上野教授ではなく、大学生や親のことだ。まさか今どき「息子は大学まで、娘は短大まで」なんて考える親がいるのか。さらには親の世代どころか、もっと若い学生の間でも女子で東大だと敬遠されるとのこと。そしてその背景が「女子はかわいく、守ってもらう、相手を脅かさない」とのことだが、これも時代錯誤だ。学生のうちならいっぱい遊んだり、青春時代を楽しめる。なのに東大女子だからと変なレッテルをはって何になるのだ。まして大学卒業後は仕事に就くのだから、基本性別の違い、まして東大の肩書も必ずしも役に立たないこともある。同時に社会に出ればさらなる性差別が横行しているが、これぞ世界における日本のガラパゴス化だろう。厳しい現実だが、上野教授は若くて世間を知らない学生たちによく言ってくれたと思う。

②については、確かに必死に努力して成功したのは素晴らしいが、それとて環境のおかげというのは当たっている。世の中、私も含め、初めから努力のしようがないほど劣悪な環境に生まれた、ハンデを背負っている人がいる。だからこそ恵まれた能力=環境を持った人が、弱者を助けるべきなのだ。また誰であっても自分の弱さを認め、支え合うべきだ。

③については、元々日本の大学受験は概ね暗記テクニックと恵まれた勉強環境で決まる。だがそれは詰込みの暗記式であり、もっと体系的に学ぶというのとは違う。そして大学は本来、すでにあるものではなく、新しい知を生み出すための知を身に着けるべきじゃないだろうか。社会に出れば、暗記だけではどうにもならないことが多々ある。営業の仕事に就いたらお客様は千差万別。いつまでも受験自体の感覚でいたら挫折することになる。

全体的に見て上野教授のいうことは正しいのではないかと思った。性差別問題、努力による成果は本人より環境によるもの、新しい知を得る必要がある。全て日本社会というか世相を付いているなあと感じたから。この祝辞については賛否両論あったが、否定的に捉えるようでは国際社会からは淘汰されるような気がする。そしてそういう人々こそ思考停止状態になり、安倍政権に反対する勇気や意識を持てず、このまま安倍政権が続いた場合、奴隷になるのではないかと不安に思える。
だから若者たちにはこの日の上野教授による祝辞を覚えてもらいたい。そして受験勉強の感覚から卒業するのだ!

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