分配金上位偏重で今後Jリーグはつまらなくなってしまう。そこで村井満チェアマンに言いたいこと・・・
Jリーグについて、最近どうしても納得いかないことがある。
もうご存知だろうけど、昨年夏にJリーグは英国動画配信大手パフォームグループとの大型契約により、財務基盤が強化され、それに伴い各チームへの分配金、何よりもJ1での上位入賞賞金が大幅にUPすることになった。だが私はその分配金など上位偏重の姿勢にかねてから不満を感じるようになった。
とにかく上位陣偏重はこれまでのJリーグの魅力が失われてしまう。もともとJリーグはプロ野球の巨人のような金満クラブを必要としないのがウリだったはず。中でもちょっと前のJ1では上位と下位の差があまり大きくなく、終盤になると残留争いチームが優勝争いチームを倒すことが珍しくなく、時には浦和やG大阪みたいな強豪すら下位に巻き込まれるなど、むしろ残留争いの方が面白いから下位チームでも活気が感じられ、それがプロ野球にない醍醐味とみられていた。その理由の一つは当時分配金にあまり格差がなかったことだった。
ただ2017年からはこの分配金が傾斜配分形式となってしまう。中でも大きな衝撃を与えたのは、J1優勝チームは21.5億円ももらえることだ。内訳は、3年間総計15億円の配分金及び賞金3億円、そして各クラブ財政安定化のための配分金3.5億円である。以下2位で7億円、3位で3.5億円、4位で1.8億円ということになっている。またJ2降格チームにも救済金で2.8億円が入るとのこと。
こうした動きから、早くも例年以上に主力クラスの選手の移籍が盛んになってきた。J1でも昨年まで上位クラスの陣容でありながらG大阪や横浜Mは大幅な戦力ダウンを余儀なくされ、特に横浜Mはフロント、というよりシティグループの不手際により大黒柱中村俊輔が退団し、早くもJ2降格候補とささやかれる始末。一方鹿島はクラブW杯での準優勝での莫大な賞金も影響してか、海外志向の強い柴崎岳がチームに残る可能性が高い中で新潟の柱レオシルバを強奪。他にもペドロジュニオールなど、各クラブでの主力を続々引き抜き、柴崎が海外移籍してもお釣りが返ってくる余裕の陣容となっている。中でも一度優勝したらむこう3年で15億円が約束されているだけに、もし鹿島がまた優勝したら、特にリーグ戦は永遠に鹿島が優勝し続け、他のチームはどこも太刀打ちできなくなってしまう。これでは鹿島サポーター以外にとってはつまらない話でしかない。
ただ、今回決めたことをまだ1年たってない時点で反論してもムダともいえよう。それでもせめて村井満チェアマンに言いたいことがある。
まずは、プロ野球のFA移籍に対する人的補償制度を取り入れるのはどうだろうか。もちろんプロ野球と全く同じでなくていい。むしろ上位偏重となってしまう状況からすれば、これまで賞金圏内といわれたJ1リーグの上位7チームがそれ以下のチームから引き抜くケースだけ限定でもいい。対象選手にしても、4年以上フル出場に近いくらいの実績を残した選手だけに限定すればいい。
というのも、プロ野球では広島の一岡竜司の成功例があるからだ。一岡は元々巨人でプレーしていたが、2シーズンあまり目立たなかった。そして2013年オフに巨人がFAで当時広島のエース級投手大竹寛を引き抜き、その人的補償で広島へ移籍。2014年には終盤に負傷もあったものの、31試合登板、2勝2セーブ16ホールドで防御率0.58と、一転して好成績を残した。当時の一岡の活躍でFAでの人的補償制度への注目度が高まり、くすぶっている若手を覚醒させるドラマチックな要素がプロ野球人気復活の一因ともなっている。
サッカー界では基本的に契約が残った選手を引き抜かれた場合は移籍金で補填するのが一般的だ。だが契約満了選手だとあっさり引き抜かれるケースが多い。2015年前期無敗優勝を果たした浦和は主力クラスを大量補強したが、いずれも契約満了の選手ばかりでリーズナブルな勝利と讃えられたことがあった。だが逆に言えば下位チームにとってはいい迷惑ともいえる。そういう意味ではやはりプロ野球みたいな人的補償制度はあった方がいい。
例えば今回レオシルバを引き抜いた鹿島は、同じポジションでなくとも、誰か選手を新潟に移籍させるのはどうだろうか。昨年J1優勝したチームとJ1でギリギリ15位だったチームだけにこのくらいの配慮は必要だろう。また鹿島で出られなかった選手でも、一岡みたいに注目されれば価値が上がり、いつか鹿島に認められる可能性はあるし、今度は別のクラブで頑張るという選択があってもいいのではないか。逆に順位が近いチーム同士ならば従来の移籍金制度だけでもいいだろうが。
あとはACL関連で気になることがある。近年ACL、というかサッカー界全体がマネーゲーム化している。W杯や欧州CLなどで大活躍した選手の移籍で数百億円もの大金が動き、中でも中国や中東がやたら札束で大物外国人を買い漁るケースが目立っている。ただ欧州は特に中国の爆買いに批判的だ。そりゃそうだ。現にACL参戦チームで大物外国人が活躍しても、中国のサッカーは代表チームをはじめ凋落しているではないか。村井チェアマンはこうした金満体質の波が渦巻くACLでJリーグクラブを優勝させようとムキになっているが、こんなマネーゲームのためにACL参戦チーム、すなわち上位陣だけ偏重するのはメリットがないのではないか。
ただ村井チェアマンはそこまでしてACL参戦チームだけ分配金を多くするのは良からぬ事情も感じられる。本来なら下位チームに回すべき資金を、ACLでJクラブを有利にするために審判買収で利用するのではないかという気がするのだ。ご存知のように中国を筆頭に大金かけすぎて強化するチームが目立ち、それが近年のJクラブ苦戦の原因の一つにはなっている。また過去には中東の笛という言葉が出るほど、一部では八百長も横行しているようだ。それで村井チェアマンもこれ以上はガマンできないためか、下位チーム強化よりもACLに目がくらんで審判を買収してでもJクラブを優勝させようとしてもおかしくはない。
だがACLで八百長をしてまで優勝して、それが何になるのか?村井チェアマンは就任してから一貫して強く利益を追求してきたが、これまでの「均衡・下剋上」という醍醐味を喪失させ、人気が低迷し、その上ACLだけでも八百長した場合、むしろこれまでの情熱や努力が無駄になるだけだ。むしろ下位チームの方が数は少なくとも本気で応援してくれる人の割合は多いはず。上位陣はコアサポーターもいるが、何となくのライト層が主体だったりする。そういう意味では、下位チームを蔑ろにしすぎると、本気のファンは離れてしまう。下位チームを贔屓しろとはいわないが、これまでのような格差があまりないという醍醐味・魅力は残すべきだ。これまでのJリーグの収益は均衡及び残留争いのドラマによる部分が大きいのだから。
今年初めの記事でも述べたように、「戦いは実力が近くなくては面白くない」。スポーツとは本来そうあるべきなのだから。海外の悪いところをわざわざマネする必要はないのだ。まして八百長なんて、勝負の世界では最も許されないことなのだから。もちろんACLでの八百長なんて杞憂であればいいが・・・。
もうご存知だろうけど、昨年夏にJリーグは英国動画配信大手パフォームグループとの大型契約により、財務基盤が強化され、それに伴い各チームへの分配金、何よりもJ1での上位入賞賞金が大幅にUPすることになった。だが私はその分配金など上位偏重の姿勢にかねてから不満を感じるようになった。
とにかく上位陣偏重はこれまでのJリーグの魅力が失われてしまう。もともとJリーグはプロ野球の巨人のような金満クラブを必要としないのがウリだったはず。中でもちょっと前のJ1では上位と下位の差があまり大きくなく、終盤になると残留争いチームが優勝争いチームを倒すことが珍しくなく、時には浦和やG大阪みたいな強豪すら下位に巻き込まれるなど、むしろ残留争いの方が面白いから下位チームでも活気が感じられ、それがプロ野球にない醍醐味とみられていた。その理由の一つは当時分配金にあまり格差がなかったことだった。
ただ2017年からはこの分配金が傾斜配分形式となってしまう。中でも大きな衝撃を与えたのは、J1優勝チームは21.5億円ももらえることだ。内訳は、3年間総計15億円の配分金及び賞金3億円、そして各クラブ財政安定化のための配分金3.5億円である。以下2位で7億円、3位で3.5億円、4位で1.8億円ということになっている。またJ2降格チームにも救済金で2.8億円が入るとのこと。
こうした動きから、早くも例年以上に主力クラスの選手の移籍が盛んになってきた。J1でも昨年まで上位クラスの陣容でありながらG大阪や横浜Mは大幅な戦力ダウンを余儀なくされ、特に横浜Mはフロント、というよりシティグループの不手際により大黒柱中村俊輔が退団し、早くもJ2降格候補とささやかれる始末。一方鹿島はクラブW杯での準優勝での莫大な賞金も影響してか、海外志向の強い柴崎岳がチームに残る可能性が高い中で新潟の柱レオシルバを強奪。他にもペドロジュニオールなど、各クラブでの主力を続々引き抜き、柴崎が海外移籍してもお釣りが返ってくる余裕の陣容となっている。中でも一度優勝したらむこう3年で15億円が約束されているだけに、もし鹿島がまた優勝したら、特にリーグ戦は永遠に鹿島が優勝し続け、他のチームはどこも太刀打ちできなくなってしまう。これでは鹿島サポーター以外にとってはつまらない話でしかない。
ただ、今回決めたことをまだ1年たってない時点で反論してもムダともいえよう。それでもせめて村井満チェアマンに言いたいことがある。
まずは、プロ野球のFA移籍に対する人的補償制度を取り入れるのはどうだろうか。もちろんプロ野球と全く同じでなくていい。むしろ上位偏重となってしまう状況からすれば、これまで賞金圏内といわれたJ1リーグの上位7チームがそれ以下のチームから引き抜くケースだけ限定でもいい。対象選手にしても、4年以上フル出場に近いくらいの実績を残した選手だけに限定すればいい。
というのも、プロ野球では広島の一岡竜司の成功例があるからだ。一岡は元々巨人でプレーしていたが、2シーズンあまり目立たなかった。そして2013年オフに巨人がFAで当時広島のエース級投手大竹寛を引き抜き、その人的補償で広島へ移籍。2014年には終盤に負傷もあったものの、31試合登板、2勝2セーブ16ホールドで防御率0.58と、一転して好成績を残した。当時の一岡の活躍でFAでの人的補償制度への注目度が高まり、くすぶっている若手を覚醒させるドラマチックな要素がプロ野球人気復活の一因ともなっている。
サッカー界では基本的に契約が残った選手を引き抜かれた場合は移籍金で補填するのが一般的だ。だが契約満了選手だとあっさり引き抜かれるケースが多い。2015年前期無敗優勝を果たした浦和は主力クラスを大量補強したが、いずれも契約満了の選手ばかりでリーズナブルな勝利と讃えられたことがあった。だが逆に言えば下位チームにとってはいい迷惑ともいえる。そういう意味ではやはりプロ野球みたいな人的補償制度はあった方がいい。
例えば今回レオシルバを引き抜いた鹿島は、同じポジションでなくとも、誰か選手を新潟に移籍させるのはどうだろうか。昨年J1優勝したチームとJ1でギリギリ15位だったチームだけにこのくらいの配慮は必要だろう。また鹿島で出られなかった選手でも、一岡みたいに注目されれば価値が上がり、いつか鹿島に認められる可能性はあるし、今度は別のクラブで頑張るという選択があってもいいのではないか。逆に順位が近いチーム同士ならば従来の移籍金制度だけでもいいだろうが。
あとはACL関連で気になることがある。近年ACL、というかサッカー界全体がマネーゲーム化している。W杯や欧州CLなどで大活躍した選手の移籍で数百億円もの大金が動き、中でも中国や中東がやたら札束で大物外国人を買い漁るケースが目立っている。ただ欧州は特に中国の爆買いに批判的だ。そりゃそうだ。現にACL参戦チームで大物外国人が活躍しても、中国のサッカーは代表チームをはじめ凋落しているではないか。村井チェアマンはこうした金満体質の波が渦巻くACLでJリーグクラブを優勝させようとムキになっているが、こんなマネーゲームのためにACL参戦チーム、すなわち上位陣だけ偏重するのはメリットがないのではないか。
ただ村井チェアマンはそこまでしてACL参戦チームだけ分配金を多くするのは良からぬ事情も感じられる。本来なら下位チームに回すべき資金を、ACLでJクラブを有利にするために審判買収で利用するのではないかという気がするのだ。ご存知のように中国を筆頭に大金かけすぎて強化するチームが目立ち、それが近年のJクラブ苦戦の原因の一つにはなっている。また過去には中東の笛という言葉が出るほど、一部では八百長も横行しているようだ。それで村井チェアマンもこれ以上はガマンできないためか、下位チーム強化よりもACLに目がくらんで審判を買収してでもJクラブを優勝させようとしてもおかしくはない。
だがACLで八百長をしてまで優勝して、それが何になるのか?村井チェアマンは就任してから一貫して強く利益を追求してきたが、これまでの「均衡・下剋上」という醍醐味を喪失させ、人気が低迷し、その上ACLだけでも八百長した場合、むしろこれまでの情熱や努力が無駄になるだけだ。むしろ下位チームの方が数は少なくとも本気で応援してくれる人の割合は多いはず。上位陣はコアサポーターもいるが、何となくのライト層が主体だったりする。そういう意味では、下位チームを蔑ろにしすぎると、本気のファンは離れてしまう。下位チームを贔屓しろとはいわないが、これまでのような格差があまりないという醍醐味・魅力は残すべきだ。これまでのJリーグの収益は均衡及び残留争いのドラマによる部分が大きいのだから。
今年初めの記事でも述べたように、「戦いは実力が近くなくては面白くない」。スポーツとは本来そうあるべきなのだから。海外の悪いところをわざわざマネする必要はないのだ。まして八百長なんて、勝負の世界では最も許されないことなのだから。もちろんACLでの八百長なんて杞憂であればいいが・・・。
この記事へのコメント
とにかくこれ以上Jリーグを含めスポーツを汚さないでほしい。