西武退団から20年、森祇晶はあらためて名将だった!サッカーでも彼のような監督がいれば・・・

2015年に突入し、あらためて思ったことがある。
自分が今も当時も尊敬していた常勝西武ライオンズを率いていた森祇晶が監督を退任して20年が過ぎたんだなあと・・・。こんなふうに感慨に浸ったのは、森氏が西武においてとにかく安定した好成績を残し、同時に現場からの不満がほとんど聞かれず、まさにプロスポーツクラブにおける理想の監督だと思ったからだ。ちなみに2001~02年には横浜ベイスターズを率いていたが、1年目は3位、2年目にはまさかの最下位だった。この点を用いて、森氏は完成されたチームでなければ勝てないのではと揶揄されたことがあったが、当時の横浜は戦う姿勢がなっておらず、森監督の足を引っ張っていただけの印象が強く、自分の中では森氏に対する評価が下がることはない。

なぜ今でも森氏をリスペクトしているか?彼が退団してからの西武は当時の緻密さが薄れ、ある意味勢いや若さで乗り切ろうとして裏目に出ることが多くなったからだ。当時よりも他チームが力をつけたことや交流戦の追加など諸事情で並のチームになり下がったが、過去の威厳を取り戻してほしい。そして、サッカー界でもマンネリ化してきた日本代表、そして国内サッカー界の体質改善を望み、そのためには森氏のような人材が必要だと思うからだ。

森氏の西武におけるチーム作り・運営は素晴らしかった。前任者の厳しすぎる管理体制をリセットしながらも、緻密さなど長所はしっかり受け継いだ。1987年日本シリーズでの巨人戦における、クロマティの守備・返球の甘さを見越した上で主軸でも大胆進塁させたのが最初の衝撃だった。1990年に同じく巨人とのシリーズ初戦で、時の名捕手伊東勤がノールック牽制で一塁走者篠塚利夫を刺し、ストレート4連勝に結びつけるなど、まさに大リーグも顔負けの試合運びといえよう。1990年入団から4年連続最多勝・最多奪三振をマークした野茂英雄をカモにしたのも常勝西武を象徴している。

また選手への接し方も理詰めで、若い選手の時代背景を理解することに腐心し、「選手が主役、監督は脇役」というポリシーを貫き、就任と同時に入団した高卒大物ルーキー清原和博の扱い方も非常に巧かった。清原の起用においても、彼が表舞台で光るタイプと早々に見抜き、他のベテラン打者との兼ね合いを見極め、不協和音にならないように4番に据え、最大限にやる気を出させたことは評価に値する。

全盛期の西武では清原に加え、コンディショニングや投球理論にうるさいことで有名な工藤公康(現ソフトバンク監督)の扱い方でも非常に気を使っていた。1988年と93年に、終盤のスクランブル起用で中3日登板の可能性を示唆した際、工藤が露骨に不満を示した騒動があったが、対話路線とベテラン選手の気遣いもあり、両シーズンとも無事優勝。森氏の西武での成功は清原4番定着、工藤をノビノビ働かせたのが要因の一つだが、彼らのような個性強いエリートを巧く機能させるのも監督の仕事。それに加え、当時の西武では清原人気が突出していたが、それでも清原依存の戦い方ではなく、堅い守備をベースにした確率重視・ローリスクに徹し、時に思い切った走塁や巧みな牽制など飛び道具も準備していたのが大きい。サッカー界における、本田圭佑依存でマンネリ化していた日本代表、さらには多くのチームがクラブライセンスの影響で補強に悩むJリーグにとっていい教材になるのではないか。

一方で、森氏への批判的報道もチラホラ見られた。連覇するにつれて、「(高校時代のあだ名)岐阜の貯金箱」「日本シリーズで阪急との対戦の際には野村克也氏の家に住み込みで対策を練るだけならまだしも、自分専用の歯ブラシをちゃっかりキープしていた」「勝ちすぎて、メンバーも新鮮味がないからつまらない」など・・・。だが近年の西武はそんな森イズムがなくなり、片岡治大(現巨人)の夜の派手な活動ぶり、相内誠のスピード違反&未成年喫煙・飲酒問題など、精神面での甘さや自己管理の欠如という致命的な弱点が見られるようになった。そう考えると、森氏の退団はやはり西武にとってマイナスでしかなかった。歴代のOBやフロントの方々も森氏の偉大さを痛感したのではないか。

サッカー界も近年はマスコミの代表チーム過剰持ち上げ報道、代表戦での本田圭佑への過剰な依存、縦パスが増えても無駄なパス回しがまだ多いのが問題。Jリーグでも、クラブライセンスが影響しての安易なベテラン・高給選手放出、降格争いチームの夏場からのドタバタ補強など、どうもマンネリ化してきている。中でも戦術面の硬直化と決定力不足が深刻だろう。また、クラブがサポーターやマスコミの顔色を伺いすぎているのも強くなるための足かせになってるような気がする。この流れを変えないと日本サッカー界の進化は止まってしまう。2ステージ制にしても根本はほぼ変わらないと思う。当面の目標としては、日本代表では本田、Jクラブでは特定のスター選手への依存から少しずつでも脱却し(本田を代表から外せとはいわないが)、無駄なパスよりも縦に速く、シンプルに徹した戦いを模索すること。そして小手先の技術レベルでなく、根本なところから決定力向上を心がけることだ。ザッケローニ前監督でパスサッカーを徹底されたものの、今後の課題を本格的に克服するには、これまでの代表経験者、及びJリーグ監督経験者でも決して容易ではない。本田の扱い方や大人の試合運びなど、ドラスティックな改革には森氏のような指導者が必要だろう。

早い話、戦術的にはチーム全体の連動性、一部の隙も見せないくらいの守備意識、捨てゲームとはいわないが勝ち点1でもと割り切る大人の試合運び、決定力の向上、試合以外では理詰め・対話路線、特定スターに依存しすぎず、それでいて巧く活かし、チームのモチベーションを下げないようにする。このようなマネジメントこそ森氏が監督として成功した野球だけでなく、サッカー、その他スポーツでも求められるのだ。またこの理論はビジネスでも応用できるはず。スポーツ界で第2の森祇晶が現れることに期待したい!

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この記事へのコメント

にわか文化人
2015年01月31日 09:31
野球に限らず、どこの世界でも基本は堅実、あるときは大胆に勝負したり改革に乗り出すメリハリが必要ですね。そして時に凶器になりうる大物を巧みにコントロールすることも。
日本では凶器になりうる大物を持ち上げていれば新聞が売れたり、視聴率を確保できるため、競技や業界の将来なんて真剣に考えず、ただ権力者をヨイショするだけのマスコミのあり方が問題です。多分無理でしょうが、報道姿勢を改めてもらわないと。

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